「私作る人、僕食べる人」広告・CMの性別役割の押し付け、なぜ炎上40年も繰り返す? という記事がAERA.dotで紹介され、いよいよ炎上40年の理由解明かと思い、久しぶりにAERAを買って読んでみたら、「私作る人、僕食べる人」の話はほんの少しで、ほとんどが男女の性差別を女性の側から論じている内容でした。よくよく考えてみると、炎上を40年も繰り返すのは、こうやって忘れた頃に、わざわざ格好な話題として取り上げるからで、まあ、それほどインパクトのある事件ではありました。映像だけ見ると、和気あいあいとした食事シーンなのに、最後に「私作る人、僕食べる人」というナレーションを入れたために、放送中止に追い込まれたという、厄介な話です。そのナレーションも大した意味はなく、インスタントラーメンとの関連性も皆無で、別のナレーションにすれば、何の抗議も来なかったであろうことは明白です。
こんなくだらないことでムキにならなくてもと思いますが、一部の女性の側からすれば大きな問題なのかもしれません。お陰様で、というか、このCM放送中止事件のせいではありませんが、徐々に女性の社会進出も増えてきて、夫婦共働きは当たり前、それに応じて家事を役割分担する夫婦も多く見られるようになりました。最近では、よほど男性のほうが虐げられているのでないかという話題も多く、月のお小遣い1万円で生活しなければならないという夫の嘆き節も聞かれ、どこが男性優位の社会なのかと勘ぐりたくもなります。世の中には専業主婦で満足している女性もたくさんいて、そういう女性は、このような話題には抗議する必要もなく、外へ出て働きたいなどとは思わないでしょう。

要するに、家族の有り様はそれぞれ違うわけで、その中でお互いが納得できるように生活していくしかなく、ひとつの価値観がすべてに当てはまるものでもありません。中にはこういう家族があるかもしれません。
わたしは、女性の地位向上のために若い時から活動してきた。ずっと続いている男性優位の社会の中で、長い間虐げられてきた女性たち。誰かが声を上げなければ、男性優位の社会はずっと続いていく。もっと女性が社会に進出して働ける環境を作らなければならない。そして家事は女性の仕事とは限らないのだ。女性が社会の中で活躍できる仕事につき、相応の収入を得ることができれば、男性が主夫として家事を専業にしても、何も問題ないではないか。
今日は、抗議のためにテレビ局に出向いた。というのは最近のCMで、リビングで掃除機をかけている主婦らしき女性の映像で、そのナレーションが、いかにも掃除をするのが女性の仕事のように断定していて、非常に不愉快。これは許せない。かなり強く抗議したら、中止の方向で考えますとの返答。わたしは勝った。こうやって、どのようなことでも見逃がさずに、少しづつ運動を続けていけば、やがては大きなうねりとなって社会は変わっていく。
主人とは、いや、主人という言い方はよくない。夫とは意見の違いもあり、十数年前に離婚した。円満離婚で、わたしはキャリアウーマン、自立した女。慰謝料なんてもらっていない。それからしばらくして、元夫は再婚。久しぶりに会ったのが、わたしが大切に育てた息子の高校の卒業式。
いっしょに生活をしている時には、ほとんど家事の手伝いをしてくれなかった元夫も、今では料理や洗濯もするようになったらしい。自然にそういう気持ちになるとか言って、結婚相手の写真を見せてもらった。いかにも男に媚を売りそうなイヤな女。心でそう思っても口には出さない。
そんな事を思い出しているうちに、息子夫婦が住んでいるマンションが近づいてきた。息子は数年前に結婚して、いま目の前に見える高級マンションに住んでいる。ひと月に一度ぐらいはここを訪ねることにしているのだが、息子の住んでいる部屋のベランダを見上げると、ちょうど洗濯物を取り入れている人影が。あれが、わたしの息子。こちらを見てニッコリ微笑む。

それから部屋に入ってしばらく談笑。最近の出来事やテレビの話、社会問題など会話が途切れない、素直な息子。話し込んでいるうちに日が暮れ始め、母さんご飯食べて行きなよ、今夜はロールキャベツだよと、わたしの好みをよく知っている。
息子が料理を作っている時に、孫の鳴き声が聞こえてきた。どうやらオムツを替えなくてはいけないらしい。わたしがやろうかと言うと、これはボクの仕事、家事は完璧にこなさなくてはいけないと、孤軍奮闘している。息子の嫁は、何年か前に独自ブランドの装飾品の会社を立ち上げ、今では結構な売り上げがあるようだ。女性社長として何人もの社員を抱え、海外にも頻繁に取引に行っている。いつも忙しいので帰りも遅い。
息子が主夫としてサポートにまわることは、二人の間で話し合って決めたそうだ。それでうまくいっている。でも時々思う、息子には男らしい仕事についてほしいと、いや「男らしい」は禁句だ。男の家事が何故いけないのだ。このマンションに住んでいられるのも、息子の嫁が女性社長として活躍しているからだ。でも時々思う、息子の嫁には女らしい女性を迎えたかったと、いや「女らしい」は禁句だ。大人しい嫁とでも言っておこうか。息子の嫁は大人しくはない。家事をほとんどしない嫁に、息子が大変だから、あなたも少しはお手伝いをしたらと控えめに諫めると、仕事が忙しくて疲れているし、そんな暇はありません、お母さんどうしてわかってくれないのと、涙声で訴えかける。息子も、余計なことを言わないでくれと、わたしを責める。そうだ、わたしが悪かったのだ。わたしが望んできた社会の縮図がここにある。女性が社会で活躍して、男性がそのサポートをする。何も問題ないではないか。
自分の家に帰り、眠りにつくとき、ふと物悲しさに襲われることがある。この正体はいったい何だろう。でも大丈夫、きっと時間が解決してくれる。わたしは負けない。
By 料理パパ3号
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