台湾が発祥の地といわれている「タピオカミルクティー」。1年ほど前から大ブームになり、大きな社会現象にまでなりました。ところがそのブームにも、かげりが見え始め、東京でも閉店ラッシュが起きているとか。
タピオカブームのきっかけは、もともとはSNSの投稿からのようで、なるほどミルクティーの中に、あの黒いつぶつぶが沈んでいるのを見ると「何これ?」と関心をもってしまうのかもしれない。普通のミルクティーよりも、黒いつぶつぶのアクセントがあれば、インスタ映えもするし、ファッションのアイテムとしてもいけるかもしれない。しかし、それがブームの火付け役なら、飽きられるのも時間の問題。最後には、タピオカドリンクを片手に微笑む写真をSNSに載せても、「ダサイ」とまで言われる日がくるに違いない。それでいいのかタピオカ。

台湾では、日常生活の中に定着しているようですが、日本ではどうなんだろう。ブームが去り、普通のカフェのドリンクメニューの一品としては残るでしょうが、タピオカ専門店は減少の一途、店の前に行列などという光景は、遠い昔の話になりそう。結局いちばん賢いのは、ブームの終焉を見越して、できるだけ開店資金をかけないでお店を開き、もうお終いとみるや赤字になる前にサッと引き上げる。さよならタピオカ。そして次にどのようなブームが来るかアンテナを張り巡らせ、準備を怠らない。これはどこの世界でもあることで、利益優先の世の中では当たり前の話。逞しく生きるにはこうでなくちゃ。
これまで色んなブームがありました。「なめ猫」と言われた「なめんなよ猫」。猫に学ラン着せて頭にハチマキ、その奇抜な姿が妙に可愛くて、写真が売れに売れたものです。猫にしてみれば「何やってんだ、こいつら」ですが、同時に結構楽しんでいたのかもしれません。そういえば「ルービックキューブ」なるものもありました。当時は手に入れるのが大変で、すぐに壊れる偽物も横行しました。攻略本まで出回り、一家に一個はあったのではないかと思うくらいの流行でした。「なめ猫」も「ルービックキューブ」も、今では大きな話題になることはありませんが、「なめ猫」ファンは今でもいます。ホームページもあります。「ルービックキューブ」だって、今でもあります。通販でも売られていますし、世界大会もあります。みんな、それぞれの居場所で生きているんです。

出版界では「山頭火」ブームがありました。「分け入っても分け入っても青い山」の人です。今では「山頭火」と聞けばラーメンのほうが有名かもしれませんが、当時は「山頭火」関連の本が書店に山と積まれ、注目の的でした。生きている時は、俳句の世界でこそ有名だったようですが、一般的な知名度はなく、生活は極貧の中にあり、精神的にも他の仕事はできず、放浪しながら俳句ひとすじに生きた人です。生きている時にブームが来れば、お金もたくさん入ってきたのでしょうが、そうなったらそうなったで、多くの素晴らしい作品を残せたかどうか。
いったいブームとは何なのか。時代の流れの浮き沈みの中で、思わぬことで脚光を浴び、大勢の人たちが酔いしれ、喜びを感じ、やがては飽きて、そして忘れ去られていく。それでも、いち度脚光を浴びたのだから、それはそれで幸せなのかもしれない。世の中には、名もなき山頭火がたくさんいますから。
タピオカもこれからが正念場。たとえ飽きられても実力があれば生き残ります。お店だって、お客さんが減っても、本当にタピオカが好きなら、営業を続けるでしょう。
あと何年後かにタピオカブームも完全に過ぎ去っていたとしたら、タピオカ店も渋谷・原宿に数えるほどしかが残ってなかったら、その時こそ、お店のドアを開いて、心の中で、「こんにちはタピオカ」
By 料理パパ3号
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